イム・ユンス監督 ドキュメンタリー「牡蠣」上映会 ──ガンジョンで過ごした六ヶ月の記憶と記録

3月29日(金)夜7時から高円寺素人の乱12号店で、韓国済州島江汀(カンジョン)村で建設が進む海軍基地に反対する住民の闘争、暮らしそして土地の記憶を映像化したイム・ユンス監督のドキュメンタリー作品「牡蠣」の上映会を行ないます。

イム・ユンス監督は油絵を専攻し、ソウル大学、東京芸術大学で修士号を得ましたが、このドキュメンタリー作品によってこの春、東京芸術大学の油画研究領域で博士号を取得されました。芸大の卒業式のため来日されたのを機に、監督をお招きして上映会を催したいと思い、企画しました。入場は無料ですが会場でカンパ大歓迎です。

この映画でわたしがいちばん感銘を受けたのは江汀の普通の住民の語りです。失礼ながら片田舎の小さな漁村のごく普通の住民たちは詩人であり、哲学者であり、また透徹した社会評論家でもある。彼、彼女らのことばがすごい。これらのことばや記憶の語りを引き出したイム・ユンス監督の粘り強さもすばらしい。一見、女優かと思うような方ですが。

上映のあと、わたくしが聞き手となり少しトークをしたあと会場の皆さんとの交流会にしたいと思います。ふるってご参加ください。

※上映会はわたくしがこの上映会のために50000円ほど自腹を切って購入した最新式、超高画質の手のひらサイズモバイルプロジェクターを使用して行います。1921年創業のエルモ社(名古屋の8、16ミリ映写機の老舗企業)製です。

「牡蠣」 ドキュメンタリー作品 82分 字幕 日本語

演出 イム・ユンス(林潤秀)/撮影 イム・ユンス ユンミ 

日時 2013年3月29日(金) 19時~

場所 素人の乱12号店 (地図 http://trio4.nobody.jp/keita/shop/12/map.html)

問い合わせ 090 7171 6303 (竹内一晴 携帯電話)

【参 考】※イム・ユンス監督が大学院の卒業制作展パンフレットに書いた文章です

“ガンジョンという名前が消えてしまえばうちらの文化も消えてしまうんだよ。”
韓国の南にある島、ジェジュドは自然に恵まれた観光地で有名である。
そのジェジュドの南端に位置する小さな村「ガンジョン」。
400年を超える村の歴史を誇る「ガンジョン」は、
外部の人は殆ど受け入れなかったという、
村全体が一つの家族みたいに暮らしてきた平穏な漁村であった。
ジェジュドの中でも水が豊かでガンジョン(江汀)と呼ばれた村。
開発の強風は吹いてなかったけどありのままで平和な日々を送っていた村は、
ある日、海軍基地建設が決定された以降、大きな変化を経験するようになる。
十分な説明や、論議なしに行われる海軍基地問題。
国家の安全を直結される大きな事業に反対する人は「アカ」になり、
村は賛成と反対に分かれてけんかし始める。

基地が建設される場所は1.2㎞に渉巨大な溶岩石として
「グロンビ」と呼ばれてきた。
村民は昔から、グロンビで食べ物を取り、グロンビで出る涌き水にお祈りをする。
岩にくっ付いている牡蠣のように、グロンビと結びついているガンジョンの人たち。
壊れるのは岩だけではないのである。

サイレンが鳴ると、村民は仕事をおきっぱなしにして工事現場の正門にでて
警察や建設業者と戦わねばならない。

村のあちこちに注がれた美しい日差しのように
日常になってしまったサイレンの音。

そんなガンジョンで過ごした
六ヶ月の記憶と記録。

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